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2017.09.21

食事制限っているんかな?

今の時代は母乳をあげるママを迷わせたり、
苦しませたりする情報に溢れています。

一般的に、授乳中のママには
厳しい食事制限がつきまといますよね。

母乳支援をしている専門家や
おっぱい開業している助産院などで

「高カロリーのものはおっぱいを詰まらせるから
食べたらあかんよ!」

食事を極端に制限することを指導され、
真面目なママは
言いつけを守って野菜ばかり食べて
お肉もお菓子も口にしません。

・・・なのに
なぜかおっぱいトラブル頻発。

カロリー制限しすぎて
やせ細ってふらふらになったママが
わたしのところに泣きついて来られます。

顔色は優れず、脈も弱くなって、
どう見ても不健康です。
だけど、赤ちゃんのために!!と
無謀な節制を続けておられます。

そんな姿を見ていると
心情的に切なくなってしまいます。

授乳中の食事制限については
漠然とした違和感を
いつも感じていました。

何かがおかしい。
ここまでしないと
母乳は続けられないのかな?

食は生きるための根っこを支えるものなのに
子育てするのに極端な制限が欠かせないだなんて
不自然でしかないと思います。

わたしたちは哺乳類なのに。
おっぱいで子どもを育てる動物なのに、
いったい何がどうなっているんだ?

いくら食事制限をしてもらっても
しょっちゅうおっぱいが詰まるママは
くり返し、同じ乳管ばかりが詰まったりします。

食べ物だけに焦点を絞って
犯人捜しをしても無駄だということは
たくさんのママのおっぱいを診ていて
実感してきました。

授乳間隔や授乳姿勢、ストレス、
疲労、肩こりなどの問題が
おっぱいトラブルの影には必ずといっていいほど
存在していることに
開業してずいぶん経ってから気づきました。

おっぱいが詰まる=食べたものが原因

そう思い込んでしまいがちですが、
実はママが食べたものに含まれる脂肪分や糖分は、
そのままの形で
母乳に移行するわけではないんです。

「おっぱいが詰まる」という現象。
乳頭に白いポチっとしたものができて(白斑)
そこから母乳が出なくなり、
延長上の乳腺がガチガチに硬くなって
痛みを伴います。

マッサージで乳頭の詰まりが
プチっと抜けると
シャーっと母乳が噴出して
あっという間に楽になります。

また、乳腺炎になったときに搾乳してみると
ドロっとした白い糸のようなものが
ニョロっと出てくることがありますよね。

詰まっていたモノ、白い糸っぽいモノは
脂肪分のかたまりなのでは?
ケーキを食べたから?
チョコレートをひとかけら、食べてしまったから?

濃くなってねばねばしている乳汁、
それはママが食べたものによる脂肪分ではなくて
乳管内の母乳から水分が失われるからです。

人間の身体は
水分がたまると吸収するようにできています。
つまり、食べたものがすぐさま乳管に届いて
普段より多い脂肪分のせいで詰まる、というよりも、
母乳の流れが滞って、ある程度の時間
乳管に母乳がとどまったママになることで
母乳中の水分が失われ、どろっとしてくるんです。

つまり、
おっぱいの詰まりや乳腺炎の直接原因は
ケーキやチョコではなく
母乳の流れが滞っていることです。

ではどんなときに母乳の流れが滞るでしょうか?

授乳間隔が開いてしまったときや、
服やバッグ、抱っこひもでおっぱいを圧迫したとき。
飲み方や飲ませ方の姿勢とか角度(ポジショニング)が
適切ではなかった場合。

母乳の中に含まれる脂肪分は、
乳腺腺房細胞という乳汁製造工場の中で
ママの血液を加工して作られます。

作られた脂肪分は脂肪の玉のような形になって
母乳の中に分泌されます。

脂肪球のひとつひとつは、とても小さくて
乳管の内腔を詰まらせてしまうなど
物理的に考えられません。

上記のような、なんらかの理由で
母乳の流れが滞ってしまった箇所では
母乳の水分が再吸収されてドロドロ母乳となって
その場にとどまり、行く手を塞ぎます。

にもかかわらず、そんなことはおかまいなしに
母体は次々に新鮮な母乳を作り続けます。
出口がないのにどんどん作ったら
どうなるか・・・

乳管の中に、
ぱつんぱつんに母乳が溜まると
強烈な痛みとしこりになります。

食べた物がちょっとくらい変化しても、
母乳の成分はまず変化しません。
なぜなら、人間の身体には『恒常性』があるからです。

暑いときには汗をかいて熱を逃がし
寒いときには震えることで熱を生成して
どんな環境でもわたしたちは
だいたいいつも一定した体温を
保つことができます。

母乳の成分も、それと同じで
よほど非常識な環境下に置かれない限り、
大きな変化は起きません。

強い痛みや発熱を伴う辛い乳腺炎は、
乳管にヒビが入ったり
ひどくなると乳管の壁が破れてしまい
たまった母乳が乳管の外に滲み出て
炎症を起こすことで起こります。

さらに重症になると、乳管が折れたりねじれたりして
乳管の壁が炎症で厚くなり
そこに浮腫みが生じて
さらに乳管内腔は細くなり・・・
悪循環が悪循環を呼ぶこととなります。

ということで、

高カロリーのものを食べたから
乳腺炎にはなることはありません。

作られた母乳が、溜まりすぎることなく
常に流れを妨げないようにすることが、
乳腺炎の予防、治療になるのですね。

多くのママが信じている
食べ過ぎると乳腺炎になるということを
裏付けしてくれる科学的データも、
論文も研究も存在しません。

授乳中のママの食事は、
普通にバランスを考えたもので充分!
空腹感に逆らってまで、
カロリーを控える必要などありません!

ただ、いっぱい食べたら
いっぱい母乳を作るのは確かなので、
食べたらしっかり赤ちゃんに飲んでもらう!
それだけ気をつけてもらえれば大丈夫です。

ストレスをためないように、
肩こりにならないように、
授乳間隔がひらかないように
疲れすぎないように、

そして、人間らしく
授乳中だってケーキもチョコも焼肉とも
上手に付き合って
楽しんでくださいね!

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