海外駐在の苦悩
助産院ばぶばぶではweb相談(スカイプ相談)を実施しています。
Web相談をされる方は、
日本国内と海外、だいたい半々ぐらいの比率です。
パパの転勤や国際結婚など
事情はさまざまですが、
文化も風土も人種も言語も
なにもかもが異なる海外に駐在している日本人ママたちは
本当にたいへんだろうなぁとお察しします。
先日、ヨルダン在住の日本人ママと
web相談を実施しました。
ヨルダン?
聞いたことはあるけど・・・
どこ?
人口約970万人の中東の国で
イスラエル、パレスチナ、サウジアラビア、イラク、シリアと隣接。
日本との時差は7時間。
国民はイスラム教徒が多数で
中東戦争よりイスラエルに占領されたパレスチナから
流れてきた難民とその子孫たちです。
(むずかしすぎてワケわかりません〜)
言語はアラビア語。
المملكة الأردنيّة الهاشميّة
国土の80%は砂漠で
見渡す限り岩と砂ばかり。
街の建物にもカラフルさはなく、
どこを見ても岩と砂と同系色のみなのだそうです。
ヨルダン在住の彼女いわく、
砂埃がすごくて洗濯物なんか干せないし
呼吸をするのも苦しい感じ。
乾燥地帯なのでカラっとしていますが
夏は気温50度という過酷な暑さです。
当然そのような時間帯には危険すぎて外に出られません。
友達もなく、外出することはほとんどなく
1日中、家で1歳7ヶ月の娘と過ごしているそうです。
ヨルダンはイスラム教スンナ派という
宗教の人々がほとんどを占めていて神に祈りを捧げます。
敬虔なイスラム教徒の女性は髪の毛すら見せません。
日本とはまったく違う世界観ですよね。
中東と聞くと紛争イメージが強く、
治安に不安を感じますが
実際のアラブの人たちは
言葉を超えた優しい人が多いのだそうです。
と言われましても!
この国では日本人は珍しく
英語が通じればまだいいかもしれないけど
アラビア語なんて異次元すぎ!
おそらく日本人にとって
ヨルダンという国は、
いろいろな海外駐在の国の中でも
カルチャーショックが多すぎて
かなり過酷なのだろうと思います。
海外生活がきっかけで、固定観念がなくなり、
より広い視野で世の中や世界、
日本を見つめられるようになる人もいるでしょう。
でも、ホームシックで
海外生活を続けることが困難になってしまうママの話も
よく聞きます。
彼女は子どもが6ヶ月のときにヨルダンへ。
でもそこでの生活は想像以上の過酷さでした。
孤独とストレスは増す一方・・・
とうとう耐えかねて娘と2人、一時帰国したのでした。
単身赴任ではなく帯同を選ばれたご家族ですから
一緒に暮らしたいという想いが強い
素敵なご夫婦なのだと思います。
帰国から1年後・・・
今年の夏に再びパパの待つヨルダンへ。
しかし渡航2ヶ月にして
やはり、彼女は心身ともに限界になってしまいました。
1歳7ヶ月の娘は
自我が出てきておっぱいへの執着もひどくなってきました。
これはもしかして、自分の精神状態が
伝わってしまった結果なのだろうか?
異国の地で泣いてばかりの自分が
娘にも悪影響を与えているのなら
再び日本に帰るべきだろうか・・・
でも、
ここでまた日本へ逃げ帰ったら
自分は敗北者以外の何者でもないですよね・・・
と、彼女は泣いていました。
パパは、辛ければ戻っていいと
言ってくれているそうです。
完璧な人がいないように、完璧な国もありませんが
生活のすべてが”日本と違う”環境。
違和感しかない世界で生きるというのは
まるで拷問のようだと思います。
精神的に追い詰められて
体調を崩している彼女の状況は
あまりにも深刻だと思いました。
彼女が悩みの渦中にあり、
現実や周りが見えなくなって
考えても考えても無理だと思うのなら
“諦め”ではなく、”自分を変えるきっかけ”として
前向きに、日本に帰るのも選択肢のひとつだと思います。
自衛は、ある意味才能だと思います。
決して敗北ではありません。
子どもが、おっぱいに執着しているのは
ママのせいじゃないですよ。
仮に、ママの不安定な精神状態が
子どもに飛火しているとしたら、
子どもはママを避けるでしょう。
怒られるのが嫌だから、
ママの前で萎縮して
やたらといい子でいることでしょう。
扱いにくくなってきているのも
おっぱいばかりなのも、
ママに心を許しているからです。
大好きなママの前で、
『素』でいられるゆえだと思います。
ヨルダンという異国の地でも
子どもはスクスクと健やかに
成長されていると感じました。
スカイプに映る親子の姿を見て思いました。
ママのがんばり、ママの愛は、
子どもにちゃんと伝わっている!!
我慢するも人生、楽を選ぶのも人生。
母子にとって最良の選択をしてほしいと
願ってやみません。
親子が、家族が、
元気に過ごせることが第一です。
どうか幸せになられますように・・・。