哺乳量測定
赤ちゃんが母乳をどれだけ飲めたか
授乳前と授乳後にそれぞれ体重測定をして
差し引き何グラム飲めたかをチェックする哺乳量測定。
赤ちゃんが1回の授乳で必要な量は、
生後日数×10cc+10ccが目安となります。
例えば生後7日目なら、1回の授乳につき80ccが基準で、
母乳量が20gだったら、不足分60ccのミルクを
補足するという計算です。
昔はどこの産院でも当たり前に
授乳のたびに哺乳量測定を行なっていましたが、
最近は、しない産院も出てきています。
やらない理由としては、
哺乳量を具体的で把握してしまうと、
数字に翻弄されてばかりになって
肝心の赤ちゃんに目が向けられなくなる危険が
あるからです。
周囲のママが、40g、50gと哺乳量を増やしていくなか、
自分だけ2gや4gのまま
いつまでたっても数字に反映されなければ、
落ち込んでしまいます。
おっぱいさえ満足に飲ませてあげられないと
自分を責めてしまいます。
いっぱい飲んでくれているのが明確に
視覚でとらえられたら嬉しいし、
自信にもなりますが、
哺乳量測定は、ときに
そのようなママの本能的な勘を鈍らせてしまう
ことになりかねません。
具体的な数字よりママの直感で、
赤ちゃんの様子を感じ、自分自身を見つめ、
考えながら子育てをしてほしい・・・
そういう視点からみると
哺乳量測定を授乳のたびに行うというのは、
退院してから不安になって
母乳だけで足りているのにミルクを足してしまうことを
あおるかもしれません。
哺乳量測定は、「赤ちゃんが飲んだ量」を
示す数字なのであって、
「分泌している母乳量」ではありません。
なので、測定した哺乳量だけで
母乳分泌のよしあしを判断することはできません。
哺乳量測定ではじき出した数字はあくまでも目安です。
今回が少ないからといって、
毎回同じではないし、
ずっと少ないままでもありません。
赤ちゃんは機械じゃないので、
毎回同じようにおなかがすくわけではありません。
少ししか飲まなかったら、そのあとはつじつま合わせで頻繁に
欲しがるだろうし、
いっぱい飲んだあとは魂が抜けたみたいに眠るでしょう。
大人だって、おなかがすく日、あまり食べたくない日、
いろいろですよね。
バラバラでいいんです。
細かいことは気にしないで
赤ちゃんが元気にしているかどうかを
ママの直感で観察してあげてくださいね。
手足をよく動かすかどうか。
目に輝きがあるかどうか。
おしっこうんちがちゃんと出ているかどうか。
元気に泣くかどうか。
もちろん、生まれてしばらくの哺乳量は
赤ちゃんの体重増加に直結します。
そして体重増加は、赤ちゃんの発育発達に
ダイレクトに反映されるので、
体重が増えることはとても大切なことです。
そうはいっても、哺乳量が多くても
あまり体重が増えない子もいるし、
逆にそんなに飲んでいないのに順調に大きくなる子もいて、
赤ちゃんの体質、基礎代謝量、栄養吸収率なども影響します。
ですから、毎回計測するのではなくて、
生後2週間健診、1ヶ月健診・・・節目ごとの哺乳量計測で
十分かな、と思ったりします。
しっかり母乳分泌しているのを確認できたら
(自分で判断せずに助産師に診てもらいましょう)、
哺乳量が少なくても、頻回に吸わせること、搾乳で対応。
すぐにミルクを足す判断をするのは
必ずしも正しいとは言えません。
ミルクを足しすぎるとたいてい赤ちゃんが
眠りこけてしまい、その結果、
おっぱいを吸わせる回数が減ってしまいます。
それはイコール、母乳分泌量を低下させる
最大の原因となります。
授乳のポジションを工夫して
正しいくわえ方をマスターするだけで
哺乳量につながるケースもあります。
早産や帝王切開、低体重の赤ちゃんは
哺乳力が弱いので、スタミナがつくまで
ひたすら待つ!です。
授乳の間隔を短くして、疲れない程度の時間で
頻回授乳、すぐ疲れてしまうときは搾乳で補足!
などなど、
医学的適応があるときに、
ピンポイントで効果的な哺乳量測定をすることが
大事だと思います。