吸いながら待つ。飲みながら待つ。
産後1日目のママから
「赤ちゃんが寝てばかりで
おっぱいを吸ってくれません!
チュクチュクするばかりで本気で吸ってくれないとき
どうしたらいいのでしょうか」
というご相談をいただきました。
出産後すぐに母乳が出始めるママも
ときどきいますが、
たいていは、おっぱいが張ってきて
ポタポタと分泌を始めるのは、産後2日ほど
経過してからです。
赤ちゃんも、生まれて1~2日は
上手に飲めない子が多いです。
「あ、飲めてるな」
と感じるような授乳はなかなか叶いません。
前回の授乳から3時間以上経っているのに眠りこける子。
哺乳瓶だと飲んでくれるのに
おっぱいを差し出しても無関心の子。
飲んでくれてもすぐに吐いてしまう子。
おなかがすいているはずなのに
ギャン泣きしておっぱいに吸い付いてくれない子。
浅くチュクチュクしてばかりで
すぐおっぱいを外してしまう子。
赤ちゃんと息が合わなくて
ママは焦ってしまうかもしれませんね。
ですが、
おなかの中で胎盤・臍帯から栄養分や酸素を
もらって生活していた赤ちゃんが
生まれた途端にいきなり、
自力で口から飲んで消化吸収排泄するという大仕事を
鮮やかに決めることはできません。
お産だってそうですよね。
弱い陣痛から始まって、時間をかけながらだんだん強くなって
それに伴い子宮頸管が塾化し、
ようやく分娩になります。
何事も、準備段階を経てこそ
的確に処理することができるようになるのです。
出生から数日間、
赤ちゃんがおっぱいに吸付けないのは
おっぱいを飲んで消化吸収排泄するために必須な
おなかが動き出す準備期間を
必要とするからなんじゃないかと思うんです。
技術的に「吸付けない」ってこともあるかもしれないけど、
吸付けないというより
意図的に「吸い付かない」ようにしてるんじゃないかって。
スタートできるタイミングを伺っているわけです。
わたしたちには
胃結腸反射というのがあって
食べたものが胃の中に入ると
その刺激に反応して腸が大きく動きます。
赤ちゃんも同様に
胃結腸反射が働きますが、
胎内でやってこなかった「はじめて」を
出生と同時に開始するので
大人のように片手間に腸が動くわけがなく
まずはチュクチュクと浅い吸い方を繰り返して
おなかが動き始めるのをゆっくりと待ちます。
少量を飲みながらおなかを動かすことに
徐々に慣れていくステップがあるのです。
「ゆっくり」ってどのぐらいだと思いますか?
数分単位じゃないですよ。
おそらく、48時間ぐらいかかるんだと思います!
数日経って、おなかが動き始めるとようやく
赤ちゃんは乳輪まで深く吸い付いて
母乳を飲み始めます。
おなかの動きの発達に合わせて
チュクチュク浅い吸い方で待ってみたり
急に大きな口の動かし方で
母乳の分泌を促すような吸い方をしたり、
彼らの哺乳行動は
腸の動きに合わせた絶妙な方法を
選んでいるのです。
生まれてすぐには、
「吸いながらおなかが動き出すのを待つ」が
できなかった赤ちゃんも
日ごとに、
吸いながらおなかの動きを待つことが
できるようになり、
やがて、「飲みながらおなかの動きを待つ」
ができるようになります。
慌てない、慌てない。
一休み、一休み。
段階を踏んで一歩ずつ
進んでいきましょう!