頻回授乳=母乳不足ではありません!
3158gで生まれたいっちゃんは
のんびり体重が増えていくタイプの赤ちゃんでした。
午前中は母乳だけでなんとかがんばれますが、
ウトウトしてあまり飲めていないことも多く
あまり体重が増えません。
産婦人科で相談すると
「体力がなくて母乳が飲めない」
と言われたそうです。
ミルク60ccを1日4回与えるよう指導され
1ヶ月健診では1日体重増加量34g。
よく増えているのでミルクを減らしましょう
ということになり、指示された通り
60ccを1日3回に減らしました。
4日後に体重測定。
1日の体重増加は15g増/日しかなく
再びミルクを増やすように言われました。
増やしたり、減らしたり、
足りてると言われたり、
足りないと言われたり・・・混乱しますよね。
わたしは体重増加の日割り計算は
数日単位で行っても無意味だと考えています。
グンと体重が増えるタイミングがあったり、
停滞するタイミングがあったり、
赤ちゃんの体重増加は決して、
毎日一律量増えるわけではないからです。
たまたま増えないタイミングで日割り計算したら
「まぁたいへん、ミルクを足さないと!」
ってことになるし、
たまたま増えるタイミングで日割り計算したら
「ミルク減らさないと!」
ってことになります。
なので、両タイミングともにトータルして
総合的に「足りてる、足りてない」は判断すべきであり、
体重増加量は、
おしっこが出ているかどうかをチェックしながら
最低でも1週間単位で診ていくべきじゃないかと思います。
1週間あれば、
増加期と停滞期の両方が含まれることになるため
体重増加量/日の目安として
信ぴょう性の高い情報になるからです。
ミルクの回数を減らしてからの4日間、
体重増加は15g増/日とゆるやかになりましたが、
その期間にもおしっこはよく出ているし、
おっぱいを診せてもらっても分泌良好。
マッサージの刺激に対しての射乳反射も
しっかり認められました。
授乳の様子を見ても、
いっちゃんは舌で上手に乳輪をとらえ、
上手に吸えていました。
産婦人科で指摘されたように
今までは「体力がなくて母乳が飲めない」
だったかもしれないけど、
生後1ヶ月半を過ぎ、
いよいよ体力がついてくる月齢になってきます。
これからのいっちゃんは
別人のようにパワフルになっていくよ〜!!
よって、体重増加率が低いのは
『体重増えないタイミング』での日割り計算だったと仮説を立て、
ミルクの回数は増やすどころか、さらに1回減らし、
60ccを1日2回と頻回授乳を基本にし、
いっちゃんがよくグズるなどで
ママがしんどいな〜というときは
もう1回60ccを足してもいい(最大で60ccを3回/日まで)
とアドバイスしました。
それからしばらくして、
ミルク60ccを1日2回でいける日が増えてきました。
生後2ヶ月をすぎる頃には
直母後にミルク60cc飲めるときもあれば、
半分ぐらい飲んだら怒り出し、
残してしまうようなことも増えてきました。
2ヶ月と20日目
市の保健師が訪問してきました。
体重4700g(直近の体重測定から計算して1日25g増)
「現在の授乳方法とミルクの量で足りている」
と言われました。
よかったよかった♡
・・・さて、
ここからが、まさかの大どんでん返し大事件です!!!
以下、保健師とママのやりとり。
保健師 「授乳は1日何回?」
ママ 「多いときは20回。今は14~15回です」
保健師 「授乳回数多すぎる! 出てないんじゃない?」
ママ 「足りてなさそうなときはミルク60ccあげてます」
保健師 「それで25g/日増は少なすぎるわ。夜は寝るの?」
ママ 「ほっといたら4時間は寝てますが、
母乳量増やしたいので
2〜3時間ごとに起こして授乳してます」
保健師 「起こさんと寝かしときやー」
ママ 「??? 頻回授乳はダメなんですか?」
保健師 「確かに母乳量は増えるかもしれんけど、
もっと間隔をあけておっぱいしっかり張らせてから
30分かけてまとめて飲ませるように」
ママ 「30分も飲んでくれないですよ」
保健師 それでも1回にたくさん飲ませなあかんよ!」
25g増/日という数字、
母乳だけなら「足りている」
ミルクを足しているのなら「足りていない」?
いえいえ、十分に増えていると思います。
頻回授乳=母乳分泌不足
ではなく、赤ちゃんによって
一度にたくさん飲みたい子と、ちょこちょこ飲みを意図的に
好む子がいます。
授乳間隔をあけておっぱいを張らせてから飲ませる方法は、
分泌過多気味のママの母乳量調整法です。
これからもっと分泌量を増やしたいと思っている
いっちゃんママは、1回の授乳時間は短くても、
とにかく何度も何度も頻回に吸わせることで
母乳はよく出るようになっていくはず。
よって、意図的に授乳間隔をあける意味がわかりません。
保健師 「今、ここでおっぱいあげて。見るから」
ですがいっちゃんは
保健師訪問の直前に授乳したばかりだったので
飲んでくれませんでした。
事情を話し、おっぱいをはずすと
いっちゃんが泣きました。
その姿を見て保健師は
「やっぱり母乳出てへんのやわ!
今ここで100cc作って飲ませて。
まとめて4時間は寝てもらおう」
腑に落ちないまま、
ママは60ccのミルクを作りました。
保健師が飲ませましたが、
当然、あまり飲むはずがないですよね^^;
かわいそう・・・
もうやめてあげて・・・!と
ママは心の中で叫びました。
保健師派、飲めるだけ飲まさなあかんから、と
何度もげっぷをさせて(出ませんが・・・)
泣いて嫌がるいっちゃんの口に
無理やり哺乳瓶を差し込みます。
「うーん・・・
じゃあ、足りてるんかぁ・・・?
でも3158gで生まれたのに体重増加が悪い。
ちゃんと飲まさんと胃も小さいままやし、
授乳のあとに床に下ろして泣くのは
足りてないからやで」
最初、25g増/日で、
足りてるって言ったんじゃなかった?
足りてる言ってからの、足りてないって何?
ママの頭の中には???がぐるぐる。
保健師 「授乳間隔開くようになったか。
ミルクを飲めるだけ飲ませているか。
2週間後に電話するから」
頻回授乳で母乳量を増やそうとがんばっていたママは
自分のやり方、自分の知識が間違っていたんだろうか?
夜中起こして授乳することは
かわいそうなことだったのだろうか・・・
授乳間隔が開かないのは、母乳不足だから?
3ヶ月も間近になり、
よく笑うようになり、
げんこつをしゃぶったり、手足を元気に動かしたり
大きくなったなぁと嬉しく思っていたのに・・・
あかんの?
赤ちゃん、大丈夫ですよね?
このまま成長止まったりしないですよね?
今からでも、誰にも何も言われないぐらい
母乳は増えるのでしょうか・・・
とても不安な気持ちになったそうです。
さて。
成長曲線のグラフ内に
いっちゃんの体重増加はしっかり沿っています。
それだけでも一目瞭然、
元気に育っていることがわかります。
授乳のあと、床におろして泣くのは
飲んだ母乳を一生懸命に消化吸収排泄するために
適した姿勢(抱っこの態勢)にしてほしいという
赤ちゃんなりの主張、
いわゆる背中スイッチってやつですね。
足りないから泣くのではありません。
ミルクをたらふく飲んで床に下ろしても
やっぱり泣くときは泣きます。
頻回授乳で母乳量増加が期待できるのは
生後3ヶ月半ぐらいまで限定なので、
おしっこの状態を確認しながら
×授乳間隔をあける→○頻回授乳
×夜中は起こさない→○夜中も起こす
×ミルクは飲めるだけ与える→○1日に60ccを2回以下
2週間後に体重測定とおっぱいの状態を診て
適正量が飲めているかどうか
アセスメントすることにしました。
保健師さんの見解と真反対のことを言うと
さらにママが混乱してしまうので
本当に申し訳ない気持ちですが、
正すところは正さないと・・・です!!