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2020.06.11

母乳へのこだわり

産後2ヶ月
くるみちゃんママがばぶばぶに来られました。

くるみちゃんは、
ミルクで満腹になった後でも
おっぱいを欲しがってグズることがあり、
吸わせるとスーッと眠っていくことがよくあるそうです。

直母だけでは満足してくれず
ミルクを足していますが、
母乳は搾ってみるとそれなりの分泌があります。

だったら
吸わせてあげたいな・・・

で、せっかくなら
もうちょっと母乳が出るようになるといいな

ママはそんな気持ちでした。

ですが、パパからは

「そんなに母乳にこだわらなくても・・・」

と言われました。

こだわっているわけじゃないんです。
彼女は混合栄養でもいいと思っています。

赤ちゃんを絶対に母乳で育てる!という
「母乳信仰」のような厳格で頑固な〝こだわり〟ではなく、

赤ちゃんを育てるママが
ごく普通に抱く「あるべき姿」として、
やんわりとおっぱいを続けたいなぁと思うだけなのだと
彼女は話してくださいました。

そうですよね。

母乳で育てたいという気持ちを
「母乳信仰」というガッチガチな言葉でひとまとめに
決めつけてしまったりして
ママたちを追い詰めてしまうことは
あってはならないと思います。

妊娠、出産、育児
どの過程においても、
ママがイメージする「あるべき姿」が叶わない
現実が誰にでも起こります。

「赤ちゃん」という
ママとはまったく別の人生が
同時進行しているんやもんね。

自分の想像したとおりにならない。
努力したのに実らない。

どんなに用意周到にしていても
思うようにいかない場面は
子どもを育て上げる日まで
たくさんたくさん、それはもう湯水のように
出てきます。

「赤ちゃんはおなかが満たされれば
眠ってくれるはず」

「赤ちゃんは1日のほとんどを寝て過ごしているはず」

そんな赤ちゃんの一般的イメージがありますが、
現実にはそんな子は一握りです。

驚くほどエネルギッシュな赤ちゃんを目の前にして、
心身共にヘトヘト、
ママが抱いていたイメージが覆されてしまうことなんて
多々あります。

眠りが浅くていつも戦闘態勢の赤ちゃんや
目が覚めるとしばらく大泣きして
おっぱいも哺乳瓶も全部いらんわー!!!
と、拒否る赤ちゃんもいます。

かと思えば、
ちょっと泣いても飲んだらすぐ
静かになる手のかからない赤ちゃんもいます。

生まれてくるまで
どんな赤ちゃんなのかなんてわからないし、
10人いれば10人の個性が新生児期からあるのです。

赤ちゃん側の視点に立てば
飲ませてもぐずり続けたり、
飲ませても寝てくれないからといって

「母乳が足りているか」という短絡的な側面だけで
赤ちゃんそれぞれの行動の原因を
特定して判断することなんかできないし、
解決できるわけもありません。

母乳が足りなくて吸い続けるばかりではありません。
消化→吸収→排泄の一連の機能が未熟なゆえに
吸い続けながらおなかの動きを待つ
ということがあったりするのです。

これから赤ちゃんが
どのように変化していくのか。

そして、
その子にはどんな個性があるのか。

赤ちゃんの生理学を学べば学ぶほど
『哺乳行動の意味はなんだろう?』
という赤ちゃん視点に立って考えることが
できるようになってきますが、

助産師でさえ、つい
ママの母乳分泌のことばかりに気を取られて
赤ちゃん視点での考察ができません。

物事を一方向から見るんじゃなく
多角的に見て、考える、
ができるようになってくると

「授乳したら赤ちゃんは寝る」
「寝ないのは母乳が出ていないから」


なんでもかんでも母乳分泌という
側面だけから判断し、

「すべて母乳から始まる育児」
画一的に決めつけてしまう社会の風潮さえも
アホらしく思えてきます。

赤ちゃんもいろいろなら、
ママもまたいろいろです。

すんなり赤ちゃんに慣れて
お世話にゆとりがあるママもいれば、

退院間際まで不安がいっぱいで
赤ちゃんのお世話がぎこちないママも
います。

でも、大丈夫そうと思ったママにかぎって
産後うつになったり、
大丈夫かな・・・と心配だったママが
笑顔で子育てできたりもして

赤ちゃんとの生活は何がどうなるか、
わたしたち助産師の予測を
覆すこともたくさんあり、
始まってみないとわかりません。

くるみママは実家も遠く
家族のサポートは夫だけ、
ということがありました。

手助け体制が少ないのなら、
どこかでママが休息をとれるような
工夫が必要になります。

ミルクを足して、少しでも長く眠ってくれたら
ママもちょっとホッとできることでしょう。

ぐずっているくるみちゃんと
他に誰もいない家の中で2人きりで過ごすことは
ときにママの心を追い詰めます。

出産方法にしても母乳にしても
あまりにも「理想」の情報が多いなかで
「わたしはこうしたいんです!」
というものが明確にありすぎるママは
主体性があるように感じるけど、

『計画していたことがうまくいかなかった場合』
をイメージできていないことも
あるなぁと感じます。

うまくいく想定、いかない想定、
両方イメージできることが大事で、

一方通行の思考回路は
母乳の問題だけじゃなく、
今後の子育て全般で悩むことになる火種になると思います。

なので、
母乳への行き過ぎたこだわりを持つことなく
ミルクに上手に頼りながら、
できる範囲で、気楽な気持ちで母乳を細々とでも続けたい
と割り切っているくるみママの心のバランスの取り方は

「おぬし、やるな・・・!」

と、思いました。^ ^

女性が知識を得て、自分で判断、選択しながら
人生を切り開いていくことを「エンパワー」と
言いますが、

本当のエンパワーとは
「それが不可能だった場合」もきちんと
受け止められることではないかと思います。

母乳育児支援をしている助産師が
何をゆーとるんじゃ、
と言われてしまいそうですが、

わたしは、ぶっちゃけ

母乳のほうがよい、とか
ミルクのほうがいい、とか

どうでもええねんな〜^^;

なにより大事なのは、
現実に夫と2人だけで赤ちゃんを育てていくために
ママが倒れたりくじけたりしてしまわないような
予防線だと思います。

ママのおっぱいを診て、分泌良好、
ミルクをやめて大丈夫な状況であったとしても
赤ちゃんによっては、
ミルクをやめてしまえば1日中ずっとおっぱいを
欲しがる状況になるわけで

誰も手伝う人がいない中で
ママが吸わせ続けることを勧めるのは
現実的なアドバイスではないですよね。

いいかげん、
母乳かミルクかの
ちっちゃい議論でギャーギャー騒ぐのは
やめなあかん!

くるみママと話していて
改めて思ったのでした。

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