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2020.06.15

母子免疫移行は『母乳』からだけじゃないんだよ

帝王切開で生まれた双子ちゃん。

産道を通らず生まれてきたので
ママ由来の、赤ちゃんのカラダを守ってくれる
よい細菌たちに晒される機会に恵まれませんでした。

そして、今回本当におっぱいがまったく張らず、
ほぼ母乳が出ませんでした。
一番多かったときでもティースプーン1杯ぐらいで、それを半分こ。
それも確実にきっちり半分にできたわけでもありません。

帝王切開で生まれ、
さらに初乳もほとんど飲ませてあげられなかったということは、
双子はわたしから与えるはずだった母子免疫を
ほぼもらえなかったことになるのでしょうか??

体重優先でミルクが増え、ほぼ完ミの4ヶ月です。

――――――――――――――――――――――――

帝王切開では
ママの膣内の常在細菌に触れる機会が持てずに生まれる、
ということがあると思います。

子宮内は基本的に無菌なので、
ママのおなかからいきなり世の中に出る場合と
膣内(産道)を通過してくる場合には
世の中の細菌に曝露される機会に大きな違いがあります。

わたしたちの皮膚や腸内には
たくさんの細菌が住んでいて
ギブアンドテイクの関係で共存しています。

常在菌たちは、わたしたちを病原菌から守ってくれたり
免疫力を高めてくれたり
縁の下から消化吸収を助けてくれたりしています。

産道を通って生まれることで
赤ちゃんはまず、ママ由来のよい細菌にさらされ、
共存すべき細菌を受け取ることができます。

帝王切開だと、
ママ由来のよい細菌より先に
外界のその他の細菌を先にもらってしまう可能性があり、
生きていく上で都合のいい腸内細菌叢を形成するのに
ちょっと余計に時間がかかってしまうのですが、
ちゃんと追いつきますので
心配はいりません。

そして、ちまたでは
あっちでもこっちでも母乳の素晴らしさが語れるようになり、

ネット検索すれば所狭しと

「母乳こそが完璧な栄養」
「母乳栄養児は体が強い」

など、赤ちゃんの成長発育において
母乳がいかにすごい力を発揮するかという
メリットばかりが紹介されています。

世間が寄ってたかって「母乳母乳」と騒ぎ、
なかでも産後数日間に分泌される初乳を
飲ませるか飲ませないかが、赤ちゃんの免疫系に
大きく影響する、という情報が独り歩きしているために
ママたちはつい、母乳のことばかりに意識が向けられがちです。

ですが、本来
母子免疫とは、決して初乳(母乳)だけではありません!
なんでもかんでも母乳はパーフェクトっていうけど、
他にも着目すべき点はあります。

実は、母乳免疫には
『胎盤免疫』と『母乳免疫』の2つがあるんです。

妊娠中、胎児は胎盤を通して
ママからIgGという抗体の免疫をもらいます。

その移行は、胎盤が完成する妊娠16wころから始まり、
以後、直線的に増えて、
37wになると、赤ちゃんがもらった抗体の量は
ママと同等、あるいはそれ以上の濃度になることが
わかっています。

つまり37w時点の胎児は
「すでにめっちゃカラダ強いやん!」
ってことになると思います。

胎盤免疫は、ママから赤ちゃんへ
最初の素晴らしいプレゼントなんですね♡

おもしろい話があります。

哺乳動物を比較したとき、
このような経胎盤的なIgGの受け渡しをするのは、
サル、イヌ、ネコ、ウサギ、そしてヒト。

ウシ、ヤギ、ブタ、ウマなど大型草食動物は
胎盤免疫移行はほぼないんですって!

それらの動物も、
種の繁殖観点では幼弱乳児を感染から
守るため、母子抗体移行はあるのですが、
様式が異なります。

彼らは生まれて24時間以内に、
母乳(初乳)をゴキュンゴキュンと驚くほど上手に飲める
能力を持っているために

胎盤には頼らず、
経腸管的に抗体の受け渡しをする母乳免疫移行の
形をとるそうです。

つまり、出生直後に旺盛な哺乳力を示せる
動物のみにできる技なのかもしれませんね。

さて、わたしたち人間は
胎盤からも、母乳からも、
ダブルで母子免疫を獲得することができますが、

問題は、胎盤VS初乳
その割合ですよ!

胎盤からの抗体移行量は
母乳からの抗体移行の、なんと5倍!

言い方を変えれば
母乳免疫は、胎盤免疫のたった1/5しか
移行しないのです。

両者、こんなに差があるのはなぜか。

それは、生まれて間もない人間の赤ちゃんは
必ずしも草食動物のように器用に
母乳を飲むだけのスタミナも技術も
持ち合わせていないからだと言えるでしょう。

また、ママ側も
どんなに努力しても十分な量の母乳が
出ないこともあります。

つまり、母乳免疫はアテにならんことも多いから
予防線張って胎児期に胎盤免疫でしっかり守っとけ!
な、わけですね~。

たまたま、たっぷりの初乳が出て、
赤ちゃんがしっかり飲めた場合には

母乳で育っている子の腸内環境は
ミルクで育っている子よりもちょっと早めに
ビフィズス菌優位の腸内環境になりますが、

イマドキの粉ミルクをなめちゃいかんですよ!
改良が進んだため、ミルクっ子も
数週間の遅れを取りながらも、ちゃんとビフィズス菌を
増やしていくことがわかっています。

そんなわけで、
生後5~6ヶ月までは、妊娠中にもらった免疫と
初乳からの免疫で
赤ちゃんは病気から守られるのですが、

あくまでもママ自身が持っている免疫が移行する
という意味なので、世の中のすべての感染症に対して
万能なわけではありません。

2人目、3人目ちゃんなど
生後まもなくフツーに風邪を引いて熱を出し
入院騒動になることも珍しくないし、

インフルエンザやRSウイルスといった
タチの悪い感染症にもかかることがあります。

どんな丈夫なママからもらった免疫でも
生後数ヶ月の間に自然に失われていくため
赤ちゃん自身が自分で免疫を作る必要性が出てきます。
そのひとつの方法が予防接種ですよね。

いつまでも母子免疫には頼りません。
生後半年も経てば離乳食も始まり、
腸内環境は再び劇的に変化していきます。

なんでもかんでも掴んでは
口にもっていき、なめまわすことで
たくさんの細菌やウイルスに触れ、腸管免疫は成立していきます。
こうして赤ちゃんは自力で抵抗力をつけていきます。

野山を駆け回り、自然の空気を身体いっぱいに吸い込んで
生活する、清潔すぎない環境は
母乳うんぬん以上に、子どもの免疫獲得のために大切です。

遊びを通して自然の豊かさを感じ、
自然の中で微生物とともに生きる生活で
たくさんの病気を経験し強い身体を作っていくことを
もう一度見直してみましょう!

初乳うんぬん、
そんなん最初の数ヶ月だけの話やねん♪

子どもが育っていく年月は長いですよ。
もっと大きな視野で見守っていきましょうよ!

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